妻の実家の農業を継ぎ就農。二人三脚で農業を楽しんでいます。
雨にも負けず、おいしい里芋ができました。
小澤さんが傘のような葉の根元を掘り起こすと、土にまみれた里芋のかたまりが顔を出しました。中心の親芋を囲むように子いも、さらにその周りには孫いもが何個もついています、里芋が子孫繁栄の象徴とされるゆえんです。収穫しているのは石川早生という品種。里芋の中で最も収穫の時期が早く、粒が小さくて丸く、料理にも使いやすい品種です。「里芋はもともと水が必要な作物で、日照りに備えて、畑にかんがい設備も作ってあります。でも、今年は9月に雨が多過ぎて、逆に心配しましたね。一部、腐ってしまったりもしたのですが、収穫できたものは、ねっとり、おいしくできました」と話します。
小澤さんは、就農4年目。奥様の実家に婿養子に入り、継ぐ形で就農しました。とはいえ結婚当時は、千葉市内で会社員をしており、農業を継ぐ気持ちはなかったのだとか。「正直、予想外(笑)。でも、義父母の働く姿を見てましたら、食を作るって大変だけれど、重要な仕事だなと気づいたんです。その仕事に就く人がひとりでも増えることで、今後の日本の農業に貢献したいと考えて決意しました」
農業のことは全く知らないところからスタート。義父の忠夫さんから教わったり、自身で勉強したり、奥様と二人三脚で農業に取り組みました。4年が経ち、最近、農業って楽しいなと思えるようになったそうです。「数えてみたらスイカ、なす、きゅうり、人参、大根、じゃがいも、小松菜など、作れる野菜が30種類くらいあったんです。それに気づいたら、ようやく、農業をやっていく自信が出てきました」と謙虚に話します。その自信を元に、現在は約2haの畑を、数年後には、この倍に広げることが目標です。

飲食店と「顔の見える関係」を作りたい。
『千葉市つくたべプロジェクト』への期待は「飲食店さんと顔の見える関係を築きたいので、そのきっかけになるといいな」と話します。最初は野菜を出荷するだけでも、将来的には飲食店に畑を見にきてもらったり、小澤さんも食べに行ったり。情報交換をしながら、ときには「こんな料理に使う野菜を」と要望に応えて、新しい野菜の栽培を手がけてもみたい。そんな関係が小澤さんの描く、農家と飲食店の「顔の見える関係」です。
「野菜作りって、子どもを育てるようなものなんですよ。草が生えればきれいに刈り、病害虫が発生すればそれを取り除き、と。1日1日大事に育てていくので、いとおしく思えてくるんです。そうやって、愛情たっぷり育てた野菜ですから、おいしく調理していただき、お店のお客さんにおいしく食べてもらえるとうれしいですね」と最後にそう笑顔で話してくれました。

【ミニコラム】里芋の善し悪しは“おしり”をチェック!
山でとれる山芋に対して、里でとれるからこの名前がついたとされる「里芋」。縄文時代から栽培されたといわれるほど、日本の農業の中でも歴史のある作物です。泥と皮に包まれている里芋ですが、おいしさをチェックするには“おしり”の部分をさわってみるのがおすすめ。ふかふかしていたら、傷んでいる証拠です。



小澤さんの紹介リーフレット(pdf)は
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