
米
有限会社 輝農塾(緑区土気町)
鳰川 ワンナー
土と水に向き合いながら、千葉の土地で千葉の品種を。風土に寄り添う「輝農塾」の米づくり。
・販売期間:通年(新米は8月上旬頃から販売)
・千葉市内で買える場所:鳰川米店(土気店・日生店)、ECサイト(Amazon、ポケマル、食べチョク、ふるさと納税サイト) など
千葉市内を含む7つの地域で米づくりを行う「輝農塾(きのうじゅく)」。その社名は、鳰川(におかわ)ワンナーさんの妻・恵さんの父が、「農業が輝かしい産業になってほしい」「若い世代に農業を伝えていきたい」という願いを込めて付けました。名前の通り、かつては農業に携わりたい人や就農を志す人にその方法を教える場でもあったといいます。
2019年、ワンナーさんは先代から輝農塾を引き継ぎ、2代目に。従来の農法を大切にしながらも、「いずれは有機栽培に挑戦したい」という想いを胸に、千葉県産の品種を中心とした多品種栽培に取り組んでいます。土地と気候に寄り添いながら、よりよい米づくりを追求する鳰川さん夫妻。二人三脚で歩むそのこだわりについて話をうかがいました。
お米の味と収穫量を左右する“水の管理と土づくり”

土づくりと並んで輝農塾が特に重視しているのが、「水の管理」だと鳰川さんは話します。 「水の管理がうまくいくと、農薬や化学肥料を抑えても草が生えにくくなり、収穫量が増えるだけでなく、お米の味もよくなるんです」(鳰川さん、以下同)。
その管理方法の一つが、田植えから2〜3週間後の苗の増え方を確認し、育ち具合を見定めること。「1本の苗から茎が増えすぎると、栄養が分散して味が落ちてしまいます。そのため茎が過剰に増えないよう、田んぼの水を抜いて土を乾かす“中干し”のタイミングも見極めなければいけません」
こうした観察と育成に適した環境づくりの積み重ねが、収穫量の向上と味わいのよさにつながっているのだそう。「田植えをしてから毎日成長を見ていると、”ここのお米はおいしくなるぞ”、と分かってきます。苗の成長が芳しくないと、おいしくは育ちません」
苗の育ち方・稲の立ち方や色を見ただけで、「今年のお米はおいしい」と感じ取れる——鳰川さんの言葉からは、日々田んぼと向き合う中で培われた、確かな手応えが伝わってきます。
育てやすく、味もいい。千葉県生まれの3品種が輝農塾の主役

現在、輝農塾で栽培している品種は全部で5種類。
「コシヒカリ」や「ミルキークイーン」といった全国的に知られる銘柄に加え、近年特に力を入れているのが千葉県生まれの「ふさおとめ」「ふさこがね」「粒すけ」の3品種です。
「千葉県産の品種は、どれも稲が倒れにくいのが特徴です。米は収穫のタイミングが少し遅れるだけでも雨や風の影響を受けやすく、作業が滞るだけでなく品質も落ちてしまいます。倒れやすく病気にもかかりやすいコシヒカリやミルキークイーンについては、倒伏を防ぐために肥料の量を調整するなどの工夫も重ねていますが、一方で、病気に強く倒れにくい品種で安定した収穫量を確保することも重要だと考えています」
恵さんの妹さんが営む鳰川米店の店頭では、もちもちとした食感のミルキークイーンが根強い人気を誇りますが、近年は「粒すけ」を選ぶ人も増えているそうです。「“粒すけ”は2020年にデビューした千葉県独自のお米で、県が13年かけて開発した新品種。茎が短くて倒れにくく、コシヒカリよりも多く収穫できるのが特徴で、県内では学校給食にも採用されています」
粒が大きく、しっかりとした食感が魅力の「粒すけ」。作りやすく収量が安定している「ふさおとめ」「ふさこがね」と合わせ、土地に適した品種を選ぶことが、輝農塾のお米の品質を支えています。
| 米の種類 | 米の特徴 |
| コシヒカリ | 柔らかくて粘りと甘みもあり、つやがよい。暑さに弱く雨で稲が倒れやすい。 |
| ミルキークイーン | 甘みと粘りが強く、もち米のような白さが特徴。冷めても硬くなりにくい。 |
| ふさおとめ | 大粒で粒ぞろいのよい、あっさりとした食味。8月初旬から収穫できる。 |
| ふさこがね | 粒が大きく、炊き上がりはやや柔らかい。ふさおとめよりもっちりとした食感。 |
| 粒すけ | 大粒で弾力と粘りがあり、コシヒカリに似た食味だが、稲が倒れにくく強い。 |
お米をさらにおいしく食べる選び方・炊き方・保存方法

千葉県は稲刈りの時期が早いことで知られていますが、近年は気温上昇や日照の影響で、お米の収穫時期が年々早まっているといいます。
輝農塾で栽培している「ふさおとめ」「ふさこがね」は早生品種のため、8月頭から刈り取りが始まり、お盆前には収穫作業を終える年も珍しくありません。かつては10月まで続いていた稲刈りも、昨年は9月中に完了しました。「昨年は特に暑く、収穫時期がかなり早まりましたね。米不足もあったので、できるだけ早く店頭に出すようにしました」
そんな輝農塾のお米は、千葉市のふるさと納税の返礼品にも選ばれている逸品。
炊き立てがおいしいのはもちろんですが、家庭でお米をおいしく食べるための選び方や保存方法について教えてもらいました。
「まずは“粒がそろっているか”、そして“色”を見てください。精米したてのお米は透明感がありますが、日が経つと酸化して白っぽくなってきます。購入する際には、できるだけ精米日が新しいものを選ぶのがおすすめです」
※ミルキークイーンを除く
また、お米の袋には小さな穴が開いているため酸化が進みやすく虫も入りやすいので、1か月以内に食べ切るのが理想。特に夏場は酸化が進むので、購入後はジッパー付きの袋などに密封し、冷蔵庫の野菜室で保存するのがよいそう。「お米の適温は15〜16℃。それ以上の温度になると、お米が呼吸をして酸化が進んでしまいます。そのため一度に大量に買うよりも、1〜2kgずつこまめに購入する方が鮮度を保ちやすいです」
- 精米日はできるだけ新しいものを選ぶ
- 1〜2kgの少量をこまめに購入する
- 密封して冷蔵庫(野菜室)で保存する
さらに、炊き方にもポイントがあります。
「お米を浸水させる時間は長めでも問題ありません。忙しいと30分〜1時間で切り上げがちですが、本当は一晩置くくらいが理想です。お米が吸う水の量は決まっているので、長く置いても大丈夫なんです。夏場は浸水したまま冷蔵庫に入れておけば、炊くときに温度差がつくのでツヤが出ますよ。また、炊いたご飯を冷凍する場合は炊き立てをすぐラップに包み、粗熱を取ってから冷凍するのがコツ。水分が閉じ込められて解凍後もふっくら仕上がります」
- 浸水は長めでも問題なし。夏は冷蔵庫浸水がおすすめ
- 炊いたご飯はすぐラップで包み、粗熱を取った後に冷凍する
“未来へつなぐ米づくり”を目指して

「地域の田んぼを守りながらも少しずつ農地を広げ、化学肥料に頼りすぎない土づくりと水の管理を大切に、より多くの方にお米を届けていきたいと考えています」
そう語る鳰川さんは、カンボジア出身。2026年で来日18年を迎えます。自国では祖父が米づくりをしていた影響もあり、もともと植物を育てることに関心はあったものの、前職は会社員。本格的に農業に向き合うようになったのは、恵さんとの結婚がきっかけでした。
地域をまたいで水田を巡る日々は決して楽ではありません。それでも、「輝農塾」に込められた想いを受け継ぎ、大切な田地を次の世代へとつないでいきたい——その一心が、日々の営みの原動力になっているのでしょう。
田んぼから食卓までを思い描きながら続ける米づくり。その想いが息づく輝農塾のお米を、ぜひ一度味わってみてください!
