
豚肉
株式会社中川ファーム(若葉区中野町)
中川 光男
おいしさと手頃な価格で地元ブランド化を目指す 市内唯一の養豚場
千葉市若葉区にある株式会社中川ファームは、市内唯一の養豚場として、繁殖から肥育、出荷までを一貫して行っています。代表取締役の中川光男さんに、地域に根差した養豚経営の思いを伺いました。
ストレスを抑えて育てるのが品質の決め手
中川ファームでは、年間約2,500頭の豚を出荷しています。母豚や離乳までの子豚を管理する豚舎と、離乳後から出荷まで育てる豚舎の2種類に分け、それぞれ管理しています。
毎日豚の様子を細かく見ながら、餌やり、部屋の移動、舎内の清掃等を繰り返し、飼養管理を行っています。

子豚が生まれてから出荷するまでにかかる期間は、約半年弱。中川ファームでは、成育のあいだ豚にストレスをかけないことを心がけており、温度や衛生管理に加え、豚同士の争いを防ぐための飼養管理にも工夫を凝らしています。
「中川ファームでは同腹の豚ごとに細かく部屋を分けて管理しています。同腹の群管理をすることで豚のストレス軽減につながり、より良好な飼育環境の確保を心がけています」
また、母豚の世代交代も計画的に行っています。母豚は出産を重ねるにつれて、出産頭数や生まれる子豚の健康状態に影響が出る可能性があるため、出産回数の少ない状態で母豚の更新を積極的に行い、安定した繁殖につなげています。
積極的な設備投資で生産コストを抑制
通常、売上の大半を飼料代で占める養豚場も珍しくないため、中川さんは、養豚業界の課題は飼料の価格高騰だと感じています。
中川ファームでは、10年以上前から飼料用設備機械に投資し、菓子や麺類などの食品残さを原料とした液状飼料「リキッドフィード」を導入しています。この取組は、フードロス削減にも貢献するSDGsの先駆けともいえるもの。また、飼料は専門業者が加工したものを仕入れています。
中川ファームでは肉質への影響がないよう、時間をかけてテストを重ね、これまでと変わらない味を保っており、飼料の価格高騰課題に取組んでいます。

さらに、千葉市内の事業者でいち早く、自家発電用の太陽光発電設備を導入。その結果、農場の電気代を本来の4割程度に抑えられています。
代々続いた農業を養豚一本に
中川さんの家は、五代にわたって続く農家です。先代である父は、会社勤めの傍ら養豚だけでなく野菜や稲なども栽培していました。
幼い頃から生き物が好きだったという中川さん。千葉県立農業大学校を卒業後、養豚を生業にしたいと思い、1994年に家業を引き継いだ際に専業に踏み切りました。先代の頃は40頭ほどだった母豚を100頭規模まで一気に拡大し、2013年には株式会社として法人化。家族経営から少しずつスタッフを増やしながら、現在の体制を築いてきました。
事業を引き継いで30年以上経つ現在、豚舎の見回りは日課です。朝、昼はもちろん、心配なときは夜見回りに行くこともあります。成育を記録したデータチェックも欠かせませんが、一頭一頭を自分の目で見ることを大切にしています。
中川さんは、「豚は個体番号だけで管理しているわけではありません。一目見ればどの豚なのか、昨日とどう違うか分かります」と話しており、豚に愛情をかけて育てています。

千葉市でただ1軒、養豚を続けている中川ファーム。次に見据えるのは、これからも地元に根ざした存在であり続けることです。その思いは、自社の豚肉を地元へ届けていくためのブランド化構想へとつながっていきます。
地元にとって身近なブランドを目指して
コストを抑えながらも品質への投資は惜しまず、変わらない価格とおいしさを両立させた中川さん。実際に中川ファームの豚肉を食べた人からは、「すごくやわらかい」と驚かれることがあります。中川さんは、「おいしさにこだわって育てていますが、実は出荷後の鮮度も大事なんですよ」と話してくれました。
一般的な流通では、豚肉は精肉になってから食べるまでに1週間近くかかることが多いといいます。店頭に並ぶまでの期間が短いほど、育てるあいだのこだわりはおいしさとなって現れます。
中川ファームでは、以前ウインナーやハムなどの加工品を地域の直売所で販売していた時期があったものの、在庫管理と鮮度維持のバランスが非常に難しい現実がありました。しかし、鮮度の良いおいしい豚肉を届けたい思いが強くなり、精肉に絞って再び直売所での取り扱いができるよう、準備を進めています。地元に受け入れられる手頃な価格のブランドとなることを目指し、日々養豚経営を営んでいます。

中川さんは、「良質なものを手頃な価格で提供するブランドがあるように、おいしいものを手の届く価格で提供したいんです。これまでのコスト削減が実ってようやく実現できる状態になったので、これから地元に還元できたらいいなと思っています」と、地元への貢献を熱く話していました。
千葉市内で長く養豚業を続けてきたからこそ、これからも地元に根ざした存在でありたいと考えている中川さん。現在は市や関連業者と連携しながら、千葉市の食のブランド「千(せん)」の認定を目指しています。
千葉市で育てた豚を手に取りやすい形で地元の人たちの食卓に届けるべく、奔走している中川さん。中川ファームの豚肉が店頭に並ぶ日を、ぜひ楽しみにしていてください!
